マジつらいシャンビリ。
このつらさは、経験してみないとわからない。
そして、真剣に耳を傾けてくれない医者がいることも事実です。
今では抗うつ薬を服用している5人に1人がこの「シャンビリ」を経験しているともいわれていて、
ネット上では、たくさんの人がそのつらさを明かしています。
その告白を読むと、発現の仕方は千差万別、いろいろな形で現れてつらい思いをしていることがわかります。
原因となる薬の種類は、以前であれば特にSSRI系、その中でも「パキシル」が圧倒的に多かったですが、次の薬でも多くの人が経験するようです。
- ジェイゾロフト
- トレドミン(ミルナシプラン)
- サインバルタ
- イフェクサー
後から詳しく説明しますが、私の場合はSNRI系が多いです。
現在服用中のイフェクサーでは、1日飲み忘れただけで、かなりきついシャンビリがでます。
なぜ減薬時に起きるかなども解説しますので、参考にしてみてください。
シャンビリの対策は「飲み忘れない」「急に止めない」「少しずつ減薬」です。これは絶対です。このシャンビリの仕組みがわからないと、「薬を止める → シャンビリ → 体調悪い → また薬を飲む」を繰り返して、断薬が難しくなってしまいます。
なんとか乗り切ろうとして、我慢する人もいるようですが、シャンビリが続く期間は2週間とも1ヵ月とも言われていて、薬の種類や飲んでいた時の量、個人差で変わってくるため、一概にどれくらいとは言えません。急な断薬のためにあとから病状が再発したり、シャンビリが怖くて結局止められなくなったりすることもあります。ともかく、断薬するには、ゆっくりと計画的に減らしていくしかありません。
シャンビリ?シャンビリ感?
あらためて「シャンビリ」という言葉、もちろん医学用語ではありません。
「離脱症状」のことで、もともとはSSRIであるパロキセチン(パキシル)を減薬または断薬するときに、その患者が感じる、めまいのような独特な感覚のたとえを言います。
具体的には頭の向きを変えたり、目を動かしたりする時に、頭の奥で「シャンシャン」鳴りだし、ほぼ同時に身体に電気が走ったような「ビリッ」という痺れのような感覚が現れ、この二つの症状から「シャンビリ」と呼ばれるのが一般的です。
ただし、人によっていろいろな痺れの表現があって、痺れがまったくないという人もいます。
また、薬もSSRIだけでなく、私のようにSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)で現れる人もいます。
離脱症状ってどんな症状?どうしてなるの?
日本救急医学会では、「薬物による離脱症状」を以下のように定義しています。
薬物離脱症状は大量,長期間にわたる薬物の使用を中止または減量することによって生じる薬物特異的な症候群の発現と定義される。臨床的に著しい苦痛,社会的,職業的または他の重要な領域における機能の障害を呈する。症状は一般身体疾患によるものではなく,他の精神疾患ではうまく説明されないなどの特徴がある。離脱症状をきたす精神作用物質としては,アヘン類(麻薬類),覚醒剤,コカイン,睡眠薬,抗精神病薬,アルコールなどがある。離脱症状としては,不安,不穏,焦燥,不眠,注意障害,せん妄などがある。頭痛,嘔気,嘔吐,発汗などの身体症状がみられる場合もある。
アルコール依存症などの患者が、禁酒したときなど、「震え」や「発汗」、「吐き気」、「イライラ」が起きます。
麻薬などの依存症では「体中に虫が這う感覚」や「骨が飛び散るような痛み」などの病的な症状が起きたりして、これに近いようです。
抗うつ薬を飲むことを突然止めることで、身体に様々な症状が起きるのです。
シャンビリになりやすい薬は?
冒頭でも少し紹介しましたが、概ね次のような薬物が取り上げられています。
対象薬物として選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、三環系抗うつ薬、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)、非定型抗うつ薬(たとえばベンラファキシン、ミルタザピン、トラゾドン、デュロキセチンなど)が含まれます。
特にSSRIにおいてはSSRI離脱症候群、また抗不安薬や精神安定薬、向精神薬などベンゾジアゼピン系薬(ほとんどの睡眠薬)においてはベンゾジアゼピン離脱症候群と呼ばれます。
出典:American Academy of Family Physicians|Antidepressant Discontinuation Syndrome
離脱症状は1990年代から報告が上がっていて、特にSSRIのパロキセチン(パキシル)を服用していた人に多く表れていました。
うつ経験者がほぼ経験する「睡眠障害」について、ベンゾジアゼピン系眠剤を10年飲んで思うことをこちらの記事で解説しています。合わせてご参照ください。
関連記事:【つらい睡眠障害は薬で治る?】10年の眠剤経験から思うこと
シャンビリの理解度
お医者さんの中に、離脱症状を「副作用」として注意喚起されている方もいるのですが、薬の開発元では、「副作用」ではなく「有害事象」として、「重要な基本的注意」の中で以下のように記載しています。
投与中止(特に突然の中止)又は減量により、めまい、知覚障害(錯感覚、電気ショック様感覚、耳鳴等)、睡眠障害(悪夢を含む)、不安、焦燥、興奮、意識障害、嘔気、振戦、錯乱、発汗、頭痛、下痢等があらわれることがある。症状の多くは投与中止後数日以内にあらわれ、軽症から中等症であり、2週間程で軽快するが、患者によっては重症であったり、また、回復までに2、3ヵ月以上かかる場合もある。これまでに得られた情報からはこれらの症状は薬物依存によるものではないと考えられている。
副作用として定義すべきかどうかは少し置いておいて、厚生労働省公式サイトを見ても、「離脱症状の対象薬物」の中に「抗うつ薬」や「睡眠薬」が挙がっていないことに驚きます。
大人の事情で、いまさら明確にすることができないのかな?なんて疑ってしまいますね。
ともかく、離脱に関する情報が、今現在もオープンになっていない状況では、病気の当人ではない人、つまり健常者にとっては「シャンビリで苦しんでいる」と言われても何のことやら?なんですよね。
あまりにも認知度が低い、理解するどころではないのが実情です。
とはいうものの、苦しんでいる人はたくさんいるわけで、実際にパキシルの離脱症状に関して、1994年頃から症例報告が上がっています。
SSRIを中止した97人中26人(26.8%)で中断症候群(離脱症状)が見つかった。
この調査では、4人に1人が離脱症状になることを示唆しています。
結構な数です。。。
最近のSSRIではだいぶ離脱症状が少なくなっているようですが、私が今服用しているイフェクサーに関して、お医者さんからの注意喚起が結構な数、ネット上に上がっています。
離脱症状を起こさない薬を、主治医から処方してもらえばいいじゃない?と思われるでしょうが、
私の場合、離脱症状を起こしにくいとされている「リフレックス」や「レクサプロ」では効果がなかったんです。
私と同じように、選択肢がない、離脱症状が出る薬に頼らざるを得ない人もいるのではないでしょうか。
シャンビリを起こさない断薬の方法
シャンビリを起こさないのは、主治医の指示に従って用法用量を守る、飲む必要があるときには飲んで、急に止めないことです。
しかし、いずれうつが寛解するときがきて、断薬する段階になった時にどうするか?
もちろん、その時は主治医から指示はあるはずです。
とにかく急に薬を止めない、「きめ細かいスケジュールをたてて長い時間をかけて減らしていく。」のです。
このきめ細かいスケジュールに関しては、イギリスの医学者のヘザー・アシュトンが、2002年にベンゾジアゼピン系の薬の「離脱マニュアル(通称:アシュトンマニュアル)」を作っています。
薬の止め方のスケジュール例などが記載されているのですが、これによると、ある薬60mgを減らすために1年半をかけて、段階的に量を減らしていくように指導しています。
抗うつ薬を止めるのは大変です。
いったん飲んでしまうと、これくらいきめ細かなペースで減薬していかなくてはいけないんですね。
抗うつ薬とシャンビリ
ここからは、私の経験的なものからの推測が含まれるので、興味のない方は「まとめ」まで読み飛ばしてください。
私の長い投薬生活の中で、うつ状態がよくなったり悪くなったりを繰り返していたため、主治医の診断でいろいろな薬を試し?試され?ました。
幸いなことに、パキシルは処方されたことはありませんが、SSRI以外ではNaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)なども処方されました。
これまで処方されてシャンビリが起きた抗うつ薬は以下の通りです。
表1. 処方された抗うつ薬とシャンビリ有無
| グループ | 商品名 | シャンビリ有無 |
| NaSSA | リフレックス | なし |
| SNRI | イフェクサー | あり |
| トレドミン | あり | |
| サインバルタ | あり | |
| SSRI | レクサプロ | なし |
| ジェイゾロフト | あり | |
| 三環系 | アモキサン | なし |
抗うつ剤と同時に服用していた「ベンゾジアゼピン系」のメイラックスやワイパックスなどの抗不安やトラゾドン、また睡眠薬ではシャンビリは起きませんでした。
シャンビリと薬の半減期
近頃は薬が切れないよう注意して病院へ通っており、また飲み忘れがないように、主治医に相談して薬を飲む時間を寝る前に統一しています。
そのため、飲み忘れはないはずなのですが、それでも夕方に起きるときがあります。
ふと、昨晩飲んだ薬が夕方には切れかかっている???
問題は薬の血中濃度が半分まで下がる「半減期」です。
半減期とシャンビリの発生について以下のことがわかってきました。
表2. シャンビリ発生有無と薬の半減期
| グループ | 商品名 | 半減期(H) | シャンビリ有無 |
| NaSSA | リフレックス | 32 | なし |
| SNRI | イフェクサー | 11~12 | あり |
| トレドミン | 8.2 | あり | |
| サインバルタ | 10.6 | あり | |
| SSRI | レクサプロ | 24.6~27.7 | なし |
| ジェイゾロフト | 22~24※ | あり | |
| 三環系 | アモキサン | 8※ | なし |
半減期が12時間以下の薬でシャンビリが起き、半減期の長いリフレックスやレクサプロでは起きていませんでした。
ジェイゾロフト※については、完全に薬を飲まなくなって2週間ほどたった時にシャンビリが起きたので単純に断薬による影響、またアモキサン※で起きなかったのは、飲んでいた期間が短かったことから、シャンビリには至らなかったものと推測します。
もちろん、こればかりがシャンビリのすべての原因というわけではないでしょうが、薬の効果が薄れる「半減期」も関連しているようにも思えます。
まとめ ~シャンビリにならないために
シャンビリが起きた時には、本当につらいです。
また、以前よりもますますつらく感じるようになりました。
痺れて痛くて大変、というより、いやなめまい、気持ち悪さ、浮遊感・・・、人によっては頭痛があったり、めまいで倒れてしまう人もいるようです。
改めて、シャンビリが起きるシュチュエーションは以下のとおり、薬の成分が体から減ってしまうときです。
2. 薬を飲む間隔を空けてしまう
3. 薬を止めてしまう
1か月分のピルケースを利用するのもいいかもしれません。
2回に分けることで、薬の血中濃度を一定に保つ効果があります。
どうしてもシャンビリが起きてしまったときは、とにかく横になれることが大切です。
そうはいっても、自宅以外ですぐ横になれる状況って、なかなかないとは思いますが、それができなければ、その場でじっとして目をつぶって、なるべく動かない。
以前、主治医にシャンビリの相談をしたときに何度か、頓服ということで「抗不安薬」を処方されました。
シャンビリではなく、うつ症状が強く出たという判断だと思います。
しかし、ワイパックス、セニラン、デパスなど飲んでみましたが、私にはまったく効果なし。
飲んで効くのは、飲み忘れた、まさにその抗うつ薬だけです。
当たり前なのですが、主治医のいうことを守って、薬を飲むべき時に飲んで、急に止めたりしない限りは、「離脱症状」は起きないはずなんです。
つらい思いをしないためにも、むやみに止めないことが大切ですね。
・・・いずれ私が減薬できる日が来たときには、必ず減薬状況を公開したいと思います。


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