今にして思うと、あれがはじまりだったんだなぁと思います。
忘れもしない、2003年の冬を目前にした11月の朝。
突然、激しい頭痛と吐き気で目が覚めました。
床を這ってトイレへ行き、嘔吐。
しかしそのまま倒れこみ、猛烈な頭痛で体を起こすことができないのです。
驚く妻の片につかまって車に乗り込み、なんとか近くの内科にたどり着きました。
とにかく今まで感じたことがない激しい頭痛。
後頭部から、脈を打ちながら痛みが襲ってきます。
待合室の長椅子に横たわって痛みを堪え、ようやく診察室に呼ばれました。
今朝からの状況を説明する妻と苦しむ私に、
「これはうちではわかりません。救急車を呼ぶので大きい病院へ移ってください。」
という医者の言葉。
わけがわからないまま救急車に乗せられ、近くの総合病院に移されました。
後頭部の激痛の診断
急な激しい頭痛の時、真っ先に疑われるのは脳内出血だそうです。
CTスキャンで頭の中を調べたものの、特に出血や血栓などは見つからなかったらしく、脳には異常なし。
次に疑われるのが髄膜炎です。
背中に注射を打たれ、髄液を抜き取られました。
髄液を抜き取る注射は激痛を伴い、患者泣かせの検査らしいのですが、そのまったくその時は頭痛の痛みで、背中の痛みどころではなかったようです。
しかも、髄膜炎も異常なし。
結局診断は、「原因不明の片頭痛」でした。
「ここでは治療はできないが、そのままでは動けないでしょうから、一晩入院しますか?」
と妻が医者から聞かれたようです。
こんな大きい病院でこの痛みをどうしようもできないのなら入院してもしょうがない・・・と、その時判断できたのかは覚えてないですが、とにかくうちに帰りたいと懇願したらしいです。
そして総合病院からは、元の内科に一度戻って指示を仰ぐよう言われ、妻の運転する車で再び内科に戻りました。
その時はもはや意識もなくなりかけていて覚えていないのですが、頭痛薬を処方されたようです。
翌日の記憶で思い出せるのは、その頭痛薬がまったく効かなかったこと。
吐き気は治まったものの、頭痛の激しさは全く変わらないのです。
まるで効かない片頭痛薬
翌朝改めて内科へ行き、まったく効かなかったことを伝えると、次に処方されたのが、片頭痛によく効くというトリプタン製剤(1回1500円)でした。
薬局に入り、その場で薬を飲ませてもらいました。
5分、10分・・・いつまでたっても痛みが和らぐことはありませんでした。
しかし、3日たち、なんとなく後頭部の痛みにパターンがあることがわかってきました。
頭を横にすると少し痛みが和らぐ。
少なくとも今は、寝ている間痛みが軽減されるらしい。
起きると途端に脈を打つ痛みが襲ってくる。
パターンがわかりつつあるものの、食事どころではなく、くだものゼリーを飲み込んで空腹をしのぎました。
鍼灸院での治療に効果の兆し
一週間が過ぎても、依然痛みが治まらず寝たきりの状態が続いていたところ、どこからか聞いてきた妻が、「鍼治療はどう?」と提案してきました。
近くの鍼灸師を探してもらい、藁にも縋る思いで向かいました。
鍼灸師は盲目の60代なかばくらいの人でした。
初めに症状を聞かれ、タイプライターみたいなものでカルテらしきものを作っている。
症状や頭痛に至るまでの状況など、聞かれたことに答えていると、
「ストレスなんですよ。」
と、 鍼灸師がひとこと。
その日の治療では、頭だけでなく、足の裏、背中、顔など体全体に鍼を打ち、鍼先にお灸をともされました。
その日はなんとも不思議なことに、痛みが和らいで、初めて食事がとれるようになりました。
そして鍼灸に通って4日目、ようやく起き上がれるように。
5日目に痛みが消えて、ついに1週間後には、普段通りの生活ができるようになりました。
それ以来、これほどの頭痛が起きることはなくなりました。
そして心療内科へ
日記によると、初めて心療内科を受診したのは、原因不明の頭痛から5年後の2008年6月18日。
この日も暑さが始まったころでやけに日差しがまぶしかったのを覚えています。
しかし、なぜ診療内科を受診しようと思ったか?
そこが思い出せないのです・・・
この一カ月、とにかく怠い、朝起きられない。
早く寝ても、 1時間おきに 目が覚めるといういわゆる「中途覚醒」が酷く、休日でさえ買い物も何もできず、ただ横になるだけでした。
今思えば、休んだ気がしないのと、テレビがつまらない、子供がうるさい、といった苛立ちがあったように思います。
病院では診断のためのテストを受けました。
「鬱ですね。」
「これからの治療のための薬を出します。」
初めて処方されたのは”ジェイゾロフト”と”ドグマチール”でした。
とにもかくにも、ここから長い投薬生活が始まりました。


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