うつで休んでいいのだろうか?
痛みとかがないから、無理してでも会社に行かなくちゃ・・・
有休がもうないから、会社を休んでしまうと生活が困ってしまう。
うつと診断されても、無理をして仕事を続けてしまう人が多いです。
その理由が「仕事が忙しいから、休んだら他の人に申し訳ない」とか、「痛みがないから」とか、「これ以上有休がない」とか。
他にも、ちょっと気分がよくなっただけですぐ復帰してしまったりする人も多いようです。
でも、それが病気を繰り返してしまう原因なんです。
うつの回復のためには十分な休息が必要です。
そんなときに生活を支援してくれる制度が「傷病手当金」です。
残念ながら、自営業で国民健康保険の方は対象ではありません(※1)が、会社員や公務員の方が各健康保険協会、組合から受けることができます。
うつと診断されたときに、少しでも早く回復を目指すためにぜひ知っておくべき公的な制度のひとつです。
※1 現在、国民健康保険では「新型コロナウィルス感染症」に感染した場合にのみ、傷病手当が受けられます。
傷病手当金とは
病気やケガで会社を休んだとき、「傷病手当金」が受けられます。
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
うつと診断された場合にはあとで述べる申請書に、医師の意見書を記載して提出することで手当金を受け取ることができます。
傷病手当の受給条件
傷病手当金は、被保険者が病気やけがのために働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間 (待期) あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して支給されます。
ただし、休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されません。
要は、4日以上休んだ場合に、待期期間の3日分を除く日数に対して支給(4-3=1日分の支給)されます。
待期には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含みます。
しっかり休んで回復に努めることが、寛解への近道です。
支給される期間
傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヵ月です。
注意点として、これは1年6ヵ月分支給されるということではありません。
仮に1年6ヵ月たたずに、1年休んだ後によくなったと思い、仕事に復帰したとします。
復帰して 半年ほど働いた後、また調子が悪くなり、診断の結果が同じうつだったとして、再度仕事を休む必要があった場合、復帰していた6か月も支給期間含まれてしまうため、支給開始後1年6ヵ月を超えたことになり、傷病手当金は支給されません。
この場合、もし1年たった時の復帰判断で無理をしないことが必要だったと考えられます。
復帰時期を判断するのは大変難しいことだと思います。
私は仕事を休んでいる焦りもあり、結果的に復帰、休みを繰り返してしまいました。
復帰に関しては主治医とよく相談して、焦らず無理せずに決めるのがよいと思います。
傷病手当金の額
1日当たりの金額:
【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】 ÷ 30日 × (2/3)
(支給開始日とは、一番最初に傷病手当金が支給された日)
仮に月の平均額が30万円とすると、1日あたり
ざっくりとした月額は、最近の給料の平均の2/3程度ということです。
申請方法
①申請書の提出
申請書は会社の総務課等から受けとります。
各健康保険機関のホームページからもダウンロードできます。
申請書へ必要事項を記入し、医師より以下の意見書を記載後に会社へ申請します。
②療養担当者の意見書の記載
申請書内の、「療養担当者(保険医、医師等)記入用」欄に、 医師の意見を記載してもらってください。
※医師の記入に当たっては、費用が掛かりますので、病院へご確認ください。
支給に当たっての注意点
支給に当たって注意するべき事がいくつかあります。
①申請書について
申請書は会社、健康保険機関により異なる場合がありますので必ず確認の上、申請してください。
また不明点など、会社、各健康保険機関へご確認ください。
②手当金の支給について
手当金は申請後、すぐ支給されるわけではありません。
必ず処理時間等のタイムラグがあります。
私の場合、申請月の翌月からの支給のため、申請月はまるまる1か月分の収入がありませんでした。
③給料による差額精算いついて
傷病手当金は給料と異なります。
会社から給料が支払われない代わりに、健康保険組合等から受ける補償金です。
手当金自体は非課税ですが、休職期間に入りって給料がストップしても、毎月支払っている給料控除分、例えば住民税や年金保険料、健康保険料、通勤費や組合費、社宅料などなどは発生し、そちらの請求はあります。
そのため、差額の精算をする必要があります。
突然会社から差額精算後の、マイナスの金額が書かれた給料明細書が届くことになります。
私は初めて傷病手当をもらうとき、まったくこのことを知らなかったので、本当に驚きました。
傷病手当が来月からだから、といっても会社は待ってくれません。
以上は、傷病手当を受け取る際に、意外と気づかない注意点です。

